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南京事件における「閉ざされた空間」

 36年前、江藤淳が「閉ざされた空間」を上梓して占領下における検閲の実態を明らかにしましたが、そのときの検閲は日本人に深く染み込み、そのため南京事件の解明をつい最近まで遅らせたという論究が発表されました。「一次史料が明かす 南京事件の真実」の著者・池田悠氏が国際歴史論戦研究所のホームページに8月発表した論説「日本の言論空間と南京事件」です。
 池田氏によると、宣教師のひとりヴォートリンは宣教師たちが中国軍支援を決めたと日記に記述していましたが、訳者か出版社か自己検閲し、その箇所が訳されず、そのため宣教師の行動は中国側のプロパガンダであったと知られることがなかったということです。また、難民区が解除されて平和が戻ったというラーベ日記の記述も、日本人の自己検閲により邦訳されず、そのため宣教師が難民区を保護してきたと逆にみなされてきた、と指摘しています。
 GHQの検閲方針にしたがって自己検閲をし、その検閲があったことを明かしてはならないということは独立後も続き、さらに江藤淳が指摘したあとも続いている、と池田氏は指摘しています。あらためて南京事件が見直されるべきとわかります。