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韓国のKBSがどういうわけか南京事件に興味を示している。平成十五年に始まった百人斬り訴訟ではしばしば取材に現れ、百人斬りだけでなく南京事件についても関係者から取材していた。今年七月十六日には、高池勝彦弁護士から一時間にわたって南京事件について取材した。KBSはなぜ南京事件に、南京事件のどこに、興味あるのか。
七月十六日の取材からすると、彼らの関心は二つあるようだ。
一つは、日本軍の残虐さである。なぜ日本兵は石油をかけて殺したのか、なぜ南京市民を殺したのか、という質問を繰り返し、日本軍の残虐さをあげていたことからそれと知れる。
しかし、質問をよく正すと、彼らは誤解している。
日本軍が石油をかけて中国兵を焼いたことはあったが、焼き殺したわけでなく、死体を始末するためである。市民殺害については、百人斬り競争のことを指しており、とするなら日本人が斬った相手は中国兵であり、市民ではない。そもそも百人斬り競争は戦意高揚のための報道で、フィクションである。日本刀では何人も斬れないし、競争をしたという二人は大隊副官と歩兵砲小隊長で、前線から離れて任務に就き、周りに中国兵はいない。そういう回答を得ると彼らは、捕虜を斬ったのではないかと質問をしてきた。
捕虜を斬ったというのも、百人斬り競争がフィクションだと明らかになったとき、本多勝一記者が根拠もなく中国兵を捕虜に変えた作り話である。
KBSクルーは、南京事件はあったと主張している日本の著書を読み、そのなかの日本軍の残虐さに注目し、このような質問になったが、彼らの根底には日本が残虐な民族だという認識があるようだ。
高池勝彦弁護士は、郵便袋事件、李秀英や夏淑琴の訴訟、それに百人斬り訴訟にかかわってきた。結果として南京事件に関する訴訟にすべてかかわってきたのだが、KBSのもう一つの関心はそこにあった。つまり、高池勝彦という一弁護士が訴訟という手段で南京事件を否定しようとしている、と見ている。訴訟によって南京事件を否定しようとしていると見ているのである。なぜ引きうけてきたのか、と質問をしてきたことによってわかる。
いうまでもなく、これら事件は高池弁護士が持ち出したり、訴訟を煽りたてたものではない。郵便袋事件についていえば、一人の分隊長が南京市民殺害を命じたと記述されたため、名誉回復しようと高池弁護士に依頼してきたものである。李秀英と夏淑琴の事件は、展転社から刊行された書籍が訴えられ、展転社が弁護を依頼してきた。百人斬り事件は、遺族の向井千恵子さんと前からの知り合いで、引きうけることになったものである。高池弁護士から訴訟を持ちだしたわけではない。
韓国の強制労働では、日本の弁護士が韓国に行って訴訟を煽ってきたが、KBSのクルーは高池弁護士をそのような弁護士と考えているのである。
もしそれを言うのなら、李秀英や夏淑琴での日本人弁護人が当たるだろう。彼らは自ら中国に行き、展転社から刊行した松村俊夫や東中野修道教授を訴えるよう李秀英たちに働きかけていた。
今回の取材でKBSクルーは期待した答えが得られず、放映されるかどうか不明だが、韓国の見方はあきらかにされたと言えよう。日本が残虐な民族で、日本は歴史を歪めようとしているという思い込みが彼らにはあり、その点から南京事件に関心を持つようになったのである。
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