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 リッグの「ジャパンズ・ホロコースト」への批判は「『ジャパンズ・ホロコースト』の正体」(ハート出版)として一冊の本となり、刊行されたいま執筆した十九名の研究者たちはどのような感想を持っているか、その報告会が8月11日と9月19日に開かれました。
 9月19日に開かれた「歴史図書に関する報告会 『ジャパンズ・ホロコースト』の正体と歴史戦の課題」と題する報告会は、参議院議員会館の大講堂で開かれ、南京事件も取りあげられました。
 執筆者のひとり阿羅健一氏はリッグを、昭和12年に起きた北京の戦いと上海の戦いが区別できず、昭和天皇は南京事件を評価していると記述し、日本の歴史を知らなさすぎる、と指摘しました。またリッグの使用した一次史料はテンパーレーとラーベのものだけで、それらがプロパガンダ文書であることを言及せず引用していることから「ジャパンズ・ホロコースト」は歴史書といえない、とも指摘しています。
 おなじ池田悠氏は、つまるところ南京事件はアメリカの宣教師によるプロパガンダである、と指摘しています。また、日本の南京事件研究者は宣教師の文書の都合の悪い箇所を翻訳せず、しかもそれは宣教師が中国軍と一体となっていることを証明する重要な個所である、と批判しています。

 石平参議院議員は自分のYouTube番組「石平の中国週刊ニュース解説」を持っていますが、9月13日に中国語の「『漢奸』石平有説要説!」を加えました。日本語の字幕はつかず、第1回目の今回は11分余りで、そのなかで石平議員は南京事件にも触れ、数十万人の虐殺など起こりえず、南京事件は事実でなく、捏造された話であると語り、南京で大量の遺骨が出てきていますか、と呼びかけています。
 中国では日本とちがって南京事件は歴史事実だとする情報しか流れません。日本にいる中国政府関係者たち中国人向けとはいえ、南京事件は捏造されたものという見方は衝撃を与えるでしょう。今後、定期的に週1,2回の配信が予定されています。

 36年前、江藤淳が「閉ざされた空間」を上梓して占領下における検閲の実態を明らかにしましたが、そのときの検閲は日本人に深く染み込み、そのため南京事件の解明をつい最近まで遅らせたという論究が発表されました。「一次史料が明かす 南京事件の真実」の著者・池田悠氏が国際歴史論戦研究所のホームページに8月発表した論説「日本の言論空間と南京事件」です。
 池田氏によると、宣教師のひとりヴォートリンは宣教師たちが中国軍支援を決めたと日記に記述していましたが、訳者か出版社か自己検閲し、その箇所が訳されず、そのため宣教師の行動は中国側のプロパガンダであったと知られることがなかったということです。また、難民区が解除されて平和が戻ったというラーベ日記の記述も、日本人の自己検閲により邦訳されず、そのため宣教師が難民区を保護してきたと逆にみなされてきた、と指摘しています。
 GHQの検閲方針にしたがって自己検閲をし、その検閲があったことを明かしてはならないということは独立後も続き、さらに江藤淳が指摘したあとも続いている、と池田氏は指摘しています。あらためて南京事件が見直されるべきとわかります。

 敗戦から80年目を迎えたことから、テレビ、ラジオ、出版、ネットなどで南京事件が例年より多く取りあげられていますが、そのなかで南京事件を完全に否定する本が発行されました。青木康監修「封印された日本軍の真実」(宝島社)で、写真を多用したムック本です。
 この本は、巷間流布している歴史をGHQが植えつけたものとみなし、自虐史観、朝鮮併合、アジア解放、靖国神社などに分け、さらに項目ごと見開きに収め解説しています。南京事件は「第2章 反日に隠された『日中戦争』の真実」で取りあげられており、そこでは、南京事件の写真といわれているものは捏造されたもの、ベイツの南京事件に関する証言は事実に基づいていなかったこと、東京裁判に出された埋葬記録もつくられたものであることなどが説明されています。また、南京事件を主張する人たちが虐殺の例としてあげる幕府山事件と中国兵の処刑を取りあげ、幕府山事件は捕虜を釈放しようとしたとき暴動が起きたため射殺したもので、中国兵の処刑は便衣兵であったことによるもので国際法に違反していないことを説明しています。写真を多く引用することで理解を容易にしています。

 TBSラジオの「荻上チキ SESSION」(月曜から金曜、午後5時から8時)が「シリーズ戦後80年特集」として8月11日に南京事件を取りあげ、笠原十九司氏を招き、笠原十九司氏は50分にわたり解説、12日にYouTube上で流れました。
 そこで笠原氏は、海軍航空部隊が中国爆撃を行えば、陸軍は松井石根と武藤章と柳川平助が功を競い、兵隊は上海戦の夏服のまま歩いて南京まで進み、補充兵には上官がおらず、中支那方面軍に兵站の担当者がいなければ憲兵もおらず、そのため日本兵は民家に入って略奪と強姦をした、と説明しました。その説明を聞けば、当時の日本人の道徳はそれほど乱れていたのか、日本という国は犯罪者の群れからなっていたのか、日本軍は軍隊のていをなさず、そのような軍隊に負けた中国軍はどれほど弱かったのか、とつぎつぎ疑問を抱き、その説明に納得するひとはいないでしょう。
 また笠原氏は、南京事件を否定する歴史修正主義者がいるとして、彼らに反省がなく、そのため南京事件の被害者は傷つけられ苦しみ、日本軍がいかに残虐だったか修正主義者はもっと想像しなければならない、と説いています。
 平成30年9月19日に文京シビック小ホールで「南京攻略81年記念大講演会」が開かれたとき、マスコミ入場取材お断りの告知にもかかわらずTBSラジオは入場、講演内容をその日の番組で流し、そのことを主催者から抗議されると、報道の自由だ、と居直りました。社会生活の基本もわきまえないTBSラジオが反省といっても、自分から反省すべきといいかえされるだけでしょう。