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映画「ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~」

映画「ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~」がDVDとなって発売された。
ジョン・ラーベは、日本軍が南京を攻略したとき南京に残っていたドイツ人で、彼ら第三国人は安全区を作って難民の保護に当たった。それから半世紀以上経った平成十七年、ラーベ日記の存在が明らかにされ、平成十九年に世界同時刊行となった。日本では「南京の真実」と題して発売され、それにより、大虐殺はやはりなかったという見方から、大虐殺の第一級資料というものまでさまざまな意見が出され話題を呼んだ。アメリカの「ニューヨーク・タイムズ」は、その四年前に制作されたスチーブン・スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」から取って、ラーベを南京のシンドラーと呼んだ。またこの年は日記だけでなく映画も制作され各国で公開された。日本では平成二十一年に一度特別公開されただけであったが、制作から六年目に当たる今年、DVDとして発売されることになった。
映画のストーリーは、日本軍が南京に迫る昭和十二年十二月から翌年二月にラーベが上海に着くまでに絞り、難民救済に奔走するラーベを描いている。この年、ドイツ映画祭で主演男優賞、作品賞などを受賞したことから、映画も成功したといえるだろう。
成功した大きい要素は、ラーベを際立たせるため、日本軍の残虐さを徹底したことである。そうすることにより、ストーリーにメリハリがつき、映画として面白くなった。
それだけに残虐さの追及は徹底しており、たとえば、日本の戦闘機が安全区を機銃掃射する。日本軍の捕虜殺戮は南京突入前から始まる。十二月五日には朝香宮上海派遣軍司令官みずから「明日の朝、生きている捕虜な見たくない」と参謀に殺害を命令する。百人斬り競争をしている二人の将校は捕虜を殺害する。中支那方面軍司令官の松井石根大将は朝香宮司令官の態度を生ぬるいと叱責する。日本軍が城内に入ると強姦が続発する。こういった残虐が次から次へと描かれる。
しかし事実がどうだったかといえば、日本軍が爆撃を行ったのは軍事基地で、安全区は避けていた。南京攻略前、日本軍に捕虜を構う余裕はなく、敵兵を捕えてもそのままに進撃した。朝香宮中将が司令官として着任したのは七日で、五日にはまだ到着していない。軍命令の記録が残っており、参謀長たちの日記も残っていて口頭での指示はいまもわかるが、そのような命令は一切発せられていない。百人斬り競争は新聞記者の創作である。南京入城まで松井司令官が朝香宮司令官に会ったことはなく、当然、叱責した事実はない。このような歪曲が次々と描かれている。
史実をもとに制作するとき、映画ならデフォルメすることはよくある。問題は史実映画と謳った場合である。この場合、場所、人物、背景を正確に描き、一部をデフォルメすることは許されない。文学の場合、素材の確証が取れなければ、「ノンフィクッション」としないで「小説」とするほどである。
「ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~」はデフォルメの連続だが、最後に「事実に基づく」と流し、すべて事実としている。
それだけでなく、ジョン・ラーベが二十万もの難民を助けた、三十万の虐殺があったが日本政府は認めようとしない、ともわざわざ加えられる。
DVD発売に先駆け、三月十四日、二度目の特別上映会が東京・亀戸で行われた。上映に先立ち、監督であり脚本も担当したガレンベルガーによる上映会に対する挨拶映像が流された。数分のものであるが、そこでガレンベルガーは、南京事件をホロコーストと並べるとともに、日本を非難しているわけでない、と言い、あるいは非難しているととられるなら申し訳ない、と語っているが、映画がフィクションだとは言っていない。大虐殺は事実だから描いているだけで、それにどう対処するかは日本の問題、それについて私はなにも言っていない、というのである。
この映画が特別上映され、今回DVDとして発売されたのは「南京・史実を守る映画祭実行委員会」の努力によるもので、上映の後、主催者による解説が行われたが、彼らも描かれた残虐行為は事実だとしている。
アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」で、アメリカ人の多くは南京事件が凄まじい残虐事件だったと改めて知った。ガレンベルガーの「ジョン・ラーベ ~南京のシンドラ-~」により、ドイツ人は日本もホロコーストと同じ国家による大殺戮を行ったと知っただろう。世界中で日本の残虐さが広まっている。

1 thoughts on “映画「ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~」

  1. 朱祢 潤

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