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中島師団長日記を引用する実教出版の採択に対し請願書

 検定に合格し、来年から使用される高校の歴史教科書が一般公開されました。「教育を良くする神奈川県民の会」は、南京事件の記述がどのように変わったか調査しましたが、どの教科書もまったく変わっていません。合格したのは7社、12種の教科書で、このうち6社、11種の教科書が南京事件を記述し、清水書院の1種だけが記述していませんでした。これまでとおなじことで、なかでも実教出版の「歴史総合 新訂版 むすびつく世界と日本」は、依然として中島今朝吾第十六師団長の日記を引用しています。
 中島今朝吾日記は昭和59年に公開され、「捕虜はせぬ方針なれば」と記述していたことから、師団長が虐殺を命じたと主張され、平成6年から使用の一橋出版の「世界史B」が引用し、翌年使用の実教出版「高校日本史B」も引用しました。中島日記は一次史料ですが、軍事に関する専門的知識がなければよく理解できず、そのうえ何日か分がまとめて書かれたりし、虐殺行為があったかのような先入観を生徒に与えるため、多くの南京事件研究家が中島日記を解説しました。板倉由明は自著のなかで22頁にわたり著述しました。東中野修道は12頁にわたり分析しました。また上杉千年は6頁にわたり解説しました。そのような日記を教科書にのせることが不適切であることはいうまでもありません。
 その後一橋出版は破産し、いまでも日記を引用しているのは実教出版だけで、「教育を良くする神奈川県民の会」は、実教出版の教科書が「いわゆる『南京事件』に関して、誤解を招きかねない不適切な記述があるため採択を控えていただきたい」とする請願を神奈川県教育委員会教育長へ提出しました。
 請願書は神奈川県だけでなく東京都、千葉県、埼玉県、茨城県、静岡県、愛知県、兵庫県、福岡県からも、東京都では都議会議長宛て、それ以外は県教育委員会教育長宛てに提出されました。請願はさらに広がる気配を見せています。