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「国体文化」の連載「南京攻略戦」(2)

 「国体文化」7月号に「南京攻略戦(2)」が掲載されました。先月号からつづくもので、著者はおなじ里見日本文化学研究所客員研究員の宮田昌明氏、今回は十二月十三日からの掃討戦について明らかになっている史料をもとに筆を進めています。

 ここで問題となるのは、南京事件に関する史料の発掘が事件論争のなか進められたことから、日本軍の捕虜扱いや日本軍の軍紀を否定的にとらえる解題が付され、そのため、南京事件を解明する姿勢を取ろうとするひとも事件を認める論調におちいりがちになることです。

たとえば連載も、上海派遣軍司令部が捕虜の扱いを第一線に任せたため、前線は中国兵を殺害するなどし、多数の捕虜殺害があったという見方をしていますが、捕えた敵兵の処置は前線の任務で、前線はどのように対処すべきか知っています。軍事について正しい知識がないため、どんなことでも不法行為とみなし南京事件と結びつけてしまいます。

 南京攻略戦に参加した犬飼總一郎第十六師団旅団通信班長は、南京戦というものは上海戦からつづく追撃戦のなかで行われ、日本軍は退却兵団と交戦したり、守備につこうとしている中国軍を攻撃したり、城内に入ってからの掃討戦も追撃戦の継続であったと説明し、南京戦と取りくむひとに「そのダイナミズムを読み取る必要がある」と何度も語っています。

戦争が終わって八十年、こういった認識が連載も欠いているため、戦闘を違法行為とみなし、事件があったとする見方に陥っています。