南京事件は、長い論争を通してさまざまな主張が発表されてきたため、いまそれらすべてに目を通すことは大変で、それを逆手に取って、論争に決着がついていないとする見方が出ているほどです。しかし、論争の重要な点を取りあげ、そのことにより、南京事件はつくられたものにすぎないとわかりやすく解説する著作が刊行されました。四月六日にハート出版から刊行された茂木弘道著「日中戦争 真逆の真相」(1500円)です。
この本の第5章「南京事件の虚実」が該当部分で、これまでの論争の重要点が取りあげられ、南京事件の始まりは南京にいた英米の記者が送った原稿で、その原稿はおなじ南京にいた宣教師ベイツ教授の書いたものに拠っていることが説明されています。南京事件の一次資料と目されてきた「南京安全地帯の記録」は、根拠のないまま記述されたもので、事件の一次史料だとされているということが説明されています。 第5章は五十頁ですが、簡潔にまとめられ、読みやすく、これを読むだけであの南京事件を理解したといえるものです。