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南京取り立て裁判、展転社の勝訴確定


いわゆる南京取り立て裁判は、四月二十日、最高裁が上告棄却の判決を下し、強制執行は認められないとする地裁・高裁の判決が確定した。

この裁判は平成十六年十一月二十七日まで遡る。南京事件の犠牲者と称する夏淑琴が松村俊夫著『「南京虐殺」への大疑問』のなかの記述が名誉棄損にあたると、著者と出版社の展転社を南京人民法院に訴えて始まった。まもなくして南京人民法院から著者と出版社に出廷するよう訴状が届いたが、日本と中国に相互保証はなく、著者も出版社も応じなかった。平成十八年八月二十三日、南京人民法院は夏淑琴の主張を認め、著者と出版社に千二百万円を支払うように命じた。


それで終わったと思われていたところ、時効も過ぎた平成二十四年、夏淑琴は千二百万円の強制執行を求めて東京地裁に訴えてきた。

千二百万円という公序良俗に反する判決。時効もすでに過ぎている。そもそも日本と中国の間には相互保証がない。それでも訴えてきたということは、日本の裁判所が中国の歓迎する判決を下すことを期待したからだろうか。

平成二十五年九月、松村俊夫が亡くなった。松村俊夫が支援者に送ったメッセージに「この訴訟の実質上の原告は渡辺春己」とあるように、訴訟は夏淑琴の主任弁護人となった渡辺春己が夏淑琴に持ち掛けたもので、夏淑琴は利用されただけである。夏淑琴自身、南京戦当時のことは記憶になく、教えられたにすぎない、と告白しているのである。

平成二十七年三月二十日、判決が下った。日本と中国のあいだに相互保証がないという理由を挙げたまともな判決であった。続く東京高裁も九月三十日に同様な判決を下した。それでも夏淑琴は上告した。

夏淑琴の支援者は、市民から要請ができることになっているといって今年四月七日に最高裁西門に集まった。最高裁に圧力をかけようとしたのだろう。もちろん最高裁でもごく常識的な判断が下った。

万が一、夏淑琴の主張が認められたなら、中国とかかわっている日本の企業に同様なことが起こるだろう。もしそうなれば一大恐慌となるが、マスコミも企業も関心を示すところはなかった。

東京地裁の判決が下った直後の四月、学び社の歴史教科書が検定に合格したが、そこには夏淑琴の証言が掲載されていた。

南京取り立て裁判は解決したが、南京事件は依然として残っている。

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